長年続くリアルセールイベントを、
新型コロナ影響からオンライン化に踏み切る
—— 今回当社がオンライン化をお手伝いさせていただき「SELLOUTALL」はECサイトとして立ち上がりましたが、元のイベントはどういったイベントだったのでしょうか。
安藤様:元々開催していたイベントは、人気の国内デザイナーズブランドを集めたセールイベントです。10年以上前から、3月と11月の半期に1回の頻度で恵比寿ガーデンプレイスにて、数百人規模のイベントを開催してきました。
アパレル業界はシーズンや流行があるため、売れ残った在庫やサンプル品などは店頭で再び販売することが難しく、シーズンが過ぎると余剰在庫を抱える企業が多いという現状があります。そういった商品は、大手ブランドであれば自社のアウトレットモールで販売することもできますが、アウトレット店舗を持たない企業やブランドは、独自でセールイベントなどを開催して販売します。
私たちのセールイベントも、余剰在庫やサンプル品を通常定価の70〜90%引きの価格で販売させていただくもので、業界の関係者や日頃よりご愛顧いただいておりますお得意様を招待させていただいておりました。倉庫で眠り廃棄される可能性のある商品を再び消費者の手に届けることができるイベントは、単に在庫処分というブランド側のメリットだけでなく、サスティナブルな循環という側面においても強い使命をもって取り組んでいました。
—— なるほど。余剰在庫を抱える企業様にとっても、ファッションにこだわるファンにとってもメリットのあるイベントということですね!しかし今年は、新型コロナウイルスの影響でイベント開催自体が難しくなったのですね。
安藤様:はい、コロナの感染拡大の影響を受け例年通りのリアルでのイベント開催は難しいと判断しました。 さらにアパレル業界は、インバウンドの恩恵が無くなったことと、コロナ禍の外出自粛生活の影響から、総合的に販売量が減り、余剰在庫が増える形になっていました。そのため11月のセールイベントをリアル開催することは出来なくても、セールイベントの機会自体は守る必要があると感じ、オンライン化しようと決断しました。
明確な要件と短納期を叶える、モール型ECサイトでのカスタマイズが可能なベンダーを探して
—— 今回セールイベントのEC化に際し、どういった軸でベンダーを探されたのかお伺いできますでしょうか。
安藤様:大きな軸としては、複数ブランドが出店できるモール型ECサイトを、イベント開催時期に間に合う様に構築してくださるベンダーさんになります。
元々のイベントが複数のブランド企業を募って開催していたため、モール型かつ商品や受注管理、配送拠点を分けられる楽天のようなマルチテナント型(マルチショップ型)のシステムであることが第一条件でした。加えて、ブランド価値を守るためにも特定のキーワードを知っている方のみアクセスできるシークレット型のセール会場を用意したいと考えていたため、クローズドサイト化に対応できることも条件でした。
最後に、それらのシステム要件を短納期で実現できるベンダーさんであることも重要でした。
11月にイベントを開催するために10月中には納品してほしいというオーダーをさせていただきました。春頃よりベンダーさんを探し始めたため、実質的に要件定義含めて約3〜4ヶ月での納品を目指していたということになりますね。
—— 確かに、モール型、シークレット会場機能開発が条件になるとSaaS型(ASP型)での対応は難しいかと思いますので、パッケージ型のシステムが選択肢として有力になりますね。今回最終的に当社を開発パートナーに選んでいただいた決め手を教えていただけますでしょうか。
安藤様:御社にお願いしたいと思った一番の理由は、事業とシステムの両面から要望を理解いただけると思ったことです。営業時から、コミュニケーションおける齟齬がなく、頼り甲斐のあるベンダーさんだと感じました。
今回はモールタイプで運用も複雑でありながら、多少の開発も伴う案件を、短納期で実現しなければならず、認識齟齬が生まれないかどうかは特に懸念していたのですが、Diezonさんは初めてお話した時から理解の深さが他社と比べ圧倒的で、ほぼ即決で「安心して任せられる!」と思ってしまいました。
また、しっかりとしたドキュメント管理体制やインフラ面のサポート、保守サービスについても伺い、今後の継続的なサービスの開発パートナーさんとしても信頼できると思い、お願いすることにいたました。
—— 長期的にも信頼できるベンダーとして選んでいただけたこと、大変嬉しいです!
ストレスのないプロジェクト進行で、シークレット感を高めたモール型クローズドサイトを3ヶ月で実現
—— 現在最初のセール開催も終わり、実際のプロジェクトを振り返ってみての感想をお伺いできますでしょうか。
安藤様:プロジェクトが終わってみての率直な感想としては、こんなにも上手くいくのかと思うほどに認識の違いがほとんど生まれず、ストレスなく進められたプロジェクトだったと感じています。
コロナ禍ということもあり、やり取りはほぼオンライン上でしたが、全く問題なく納品まで進んだ印象があります。レスポンスの速さも含め進行はスムーズで、要件定義においても実際の画面イメージを仕様書として起こすなどの齟齬を減らすための工夫を講じられており、終始安心してお任せできました。
また、構築期間中にクローズドサイト機能の仕様変更をご相談した際も、実際の運用想定を交えながらご提案いただきスピーディーに仕様に落とし込んでいただけて、非常にありがたかったです。会員ログイン認証の想定から、キーワード認証の機能に変更しましたが、この機能のおかげでセールイベントのシークレット感が増し、普段から懇意にしていただいているユーザー様に優先的にご案内できるだけではなく、より多くの方に楽しんでいただける仕組みになったと思います。
—— 我々も、短納期とはいえ非常にスムーズに進んだプロジェクトだったと感じており、SELLOUTALL様のご協力に大変感謝しております。ありがとうございます。
今回REGOLITHのマルチテナント型(マルチショップ型)のパッケージをご採用いただきましたが、パッケージシステムとしては実際に使ってみられて、どういった印象をお持ちでしょうか。
安藤様:REGOLITHのモールパッケージは標準機能で基本的なモールシステムとして完成していて、ちょっとしたカスタマイズを加えるだけで、自社の実現したいことが短期間で叶えられた点が良かったと感じております。
元々自社サイトでEC-CUBEを利用していましたが、ベースが同じなので、管理画面などの操作性も慣れており、今後追加開発したい機能などもプラグイン機能として追加できるため、拡張性としても使いやすいシステムだと思います。
オンライン化からコロナ時代の活路を見出す、D2Cの実現とクラウドファウンディング機能の追加
—— 最後に、SELLOUTALL様の事業やサイトにおける今後の展望をお伺いできますでしょうか。
安藤様:コロナ禍の影響もありますが、今や私たちの業界ではブランドが既製品を作って店頭に並べるだけで売れる時代ではなくなりました。 今後はSNSを通じ、ブランドが原料から、商品製造の工程のこだわり、原価といった裏側までをお伝えした上で製品を「欲しい!」と思ってくださる方を募り、商品化し販売するというD2C的な動きも進めていきたいと思っています。当初からのSELLOUTALLの目的ではありませんでしたが、本サイトにおいても、支援いただけるお客様を募るクラウドファウンディング機能を実装できたらと思っています。
また、構築当初は元のイベントと同様に年に2回しか稼働させないサイトになる予定でしたが、クローズドとオープンを切り替えられる汎用的なサイトにもなったので、色々な企業様からのご提案も受け、楽しんでいただけるイベントの開催を増やせればと考えております。
もちろんコロナが落ち着いたら、リアルイベントも復活させて、サイトとの並行運用を考えておりますが、サイトでは オンラインであることの強みを生かし 、セールイベントという枠にとらわれず、新しい売り方や企画のできるサイトとして、年間通して動かしていきたいですね。
—— サスティナブルという重要使命のもと、再流通の課題の解決とお客様の楽しみの両面を考え、ネットを活用したD2Cも進めていかれるということで、今後のSELLOUTALL様とサイトの成長から目が離せないですね!我々も新たな使い方やシステムの変貌を楽しみにしながら、今後ともお力添えさせていただければと思います。安藤様、今回はインタビューへのご協力ありがとうございました。
SELLOUTALL(セルアウトオール)
国内人気デザイナーズブランドも多数出店。今季品を含む商品やサンプル品が最大90%OFFのプライスで購入できる、神出鬼没のシークレットセールを開催。
ウイルス感染対策を講じてインタビューを実施した上で、写真撮影時のみマスクを外して撮影させていただいております。