はじめに-システム選びは慎重に!御社に最適なシステムとは?
ロックオン社が開発した『EC-CUBE』を筆頭に、2000年代の半ばから多くの企業がECのパッケージシステムを発売してきました。ECシステムは、商品登録機能や決済機能など、どの企業にも共通して必要になる機能が多く、パッケージ化することで開発費も抑えられるため、パッケージの利用も年々増加しています。
しかし、各社が機能の充実にしのぎを削る一方、パッケージを利用することでかえって開発費が高くなっているケースも増えてきており、より自社に適切なパッケージを選ぶことが重要になってきています。
パッケージシステムをベースにECシステムを構築しようとしている皆さま、その前に一度本コラムをお読みいただき、本当にパッケージを利用することが良いのかどうか、再考いただければ幸いです。
それでは、ECパッケージを利用すると、構築費が抑えられる場合、逆に高くなる場合をご説明させていただきます。
①標準機能が充実してるとカスタマイズ費が高い?
ではまず、ECパッケージをベースにした構築が適していないケース(パッケージを利用することで返って構築費が高くなる場合)はどのような場合でしょうか。 システムに詳しくない方にもイメージしていただけるように、ここでは家を建てる工程に例えてみたいと思います。
システムを構築する際には、どんなシステムでも最初に設計書を描きます。家を建てる際に、どんな間取りで、どんなお風呂をどこに配置するかを予め設計するのと同じです。その設計書を基にシステムを構築していけば、設計者が意図した操作性と機能性が備わった「キレイ」なシステムが完成します。
しかし、ECシステムのように複雑なパッケージシステムに機能を追加しようとすると、新規に構築するより手間がかかる場合もあります。
家に例えると、システムキッチンやセキュリティーシステムを導入した家をリフォームをするイメージでしょうか。システムキッチンを導入された家は、キッチンの配置をそう簡単に変えることはできません。強固なセキュリティーシステムが導入された家は、間取りを変えるにもセキュリティーシステムを組み直さなければなりません。
しっかり構築したシステムであればあるほど、機能の追加も容易ではないのです。
また、高度なパッケージシステムに機能を追加しようとすると、システム構築費が高くなるだけではなく、操作性や仕様に制約が生じる場合があります。
もう一度家の例に戻ると、強固なセキュリティーシステムが組まれた家は、配線も壁に埋め込まれ、部屋の隅々までセンサーが張り巡らされています。この家に、部屋を一つ追加しようとすると、管理端末からセンサーまでの配線を引くために壁を剥がす必要があります。しかし、壁を剥がしてきれいに修復するには大きな改修が必要となるため、部屋の中に配線を引くなどの妥協策をとることにするとします。そうすると、部屋の中から配線やセンサーが見えてしまい、デザイン性やセキュリティーレベルが低下してしまいます。
これはECパッケージシステムでも同様で、パッケージを活かしたまま新たな機能を追加するには、機能性や操作性を妥協して構築されるケースが少なくありません。
②多機能ECパッケージを選んではいけないその他の理由
開発費が高いという他にも、多機能パッケージは下記のようなデメリットがあります。
- パッケージが高い!
機能開発にお金がかかっているので、もちろんパッケージの費用は高くなります。 - ランニングコストが高い!
複雑なシステムなため、機能を追加する場合にも、もちろん手間がかかります。 - バグが多い!
システムが複雑なため、設計にすべてを組み込めず、(仕様)バグを生じます。 - システム制約が多い!
複雑なシステムに変更を加えるため、もちろん制約が増えます。 - 構築期間が長い!
複雑なシステムを改修するには、カスタマイズの影響範囲も広くなるので、構築期間は長くなります。 - システムの動きが遅い!
使わない機能のためにサーバーの処理能力を占められるので、処理が遅くなります。 - セキュリティレベルが下がる!
機能が多岐に及ぶため、セキュリティが弱まるポイントが増えます。
③ECパッケージは使わない方が良い?
ここまで多機能パッケージのデメリットを中心に書きましたが、決してパッケージの利用自体が悪い訳ではありません。冒頭でもご説明した通り、ECサイトは各社共に共通する機能も多く、スクラッチでゼロから作る必要のない部分もたくさんあります。自社に合ったパッケージを選ぶことができれば、当然カスタマイズ費用を抑えることができますし、構築期間も短くて済みます。
家で例えると、風呂やキッチンは、ゼロから作るより、市販のユニットバスやシステムキッチンを使う方が安く、且つ利便性も高いといったイメージでしょうか。
また、最近では、先の課題を解決するために、機能がモジュール化されているECパッケージも開発されてきており、正しくパッケージを選ぶことができれば、メリットもたくさんあります。
④最新の『モジュール型』ECパッケージシステム!
次に、最近トレンドとなってきている、『モジュール型』のパッケージについて、簡単にご説明させていただきます。
パッケージベンダーの中には、上述したような問題を解決するために、機能をモジュール化するベンダーも増えてきました。
モジュール化を再び家の例で説明すると、リーフォームを見据え、各部屋をプレハブ化しておくというイメージになります。最初に個々のプレハブの大きさや壁の厚み、電気配線などの規格を定めておけば、追加で部屋が必要になったり、部屋の用途を変えたいときに、用途にあったプレハブを組み変えることで比較的簡単にリフォームが行えます。
モジュール化されたECパッケージは、これと同様に、お客様の要望に合わせて、機能毎に簡単に組み変えることができるのです。また、規格さえ共有ができれば、外部のサービスとの比較的容易に連携できるというメリットもあります。
もちろん、パッケージがモジュール化されていても、すべての問題を解決する訳ではありません。予め定まった規格に則って開発が必要になるため、想定されていない機能を作るためには、どうしても大きな回収が必要になることもあります。しかし、長期的にはECパッケージベンダーの多くが、モジュール化に取り組むことになるかと思われます。
⑤どのパッケージが自社に『最適』か?
ここまで、大きく二つの仕組みに分けてパッケージをご紹介してきましたが、自社に『適した』パッケージはとはどのように選べば良いでしょうか。
正直に記載しますと、どのパッケージがモジュール化されたものかを知っていない限り、モジュール化されているか否かを判断するのは不可能に近いです。各ベンダーの営業の方に聞いたとしても、正確な情報を得るのは難しいです。
ただ、仕組みをある程度判別するためのキーワードがあります。それは、『プラグイン』や『オプション』というキーワードです。プラグイン機能やオプション機能の利用で、安価(数万円)に追加できる機能が用意されていれば、そのシステムはモジュールに対応したシステムである可能性が高いです。もちろん、希望する機能がオプションとして準備されていない場合は構築に手間がかかるので、機能の開発費が高いからといってモジュール化されていないという判断はできませんが、オプションやプラグインは一つの判断基準になります。
開発の規模にも寄るので、一概にモジュール化されたシステムが良いとは言えませんが、長期的に追加開発を加えていく可能性があれば、モジュール化されているかどうかというのも一つの判断基準にしてはいかがでしょうか。
最後に-お困りの際には、是非ご相談ください!
ここまで、多機能パッケージのメリット/デメリットをご説明させていただきましたが、皆さまは自社に最適なパッケージを選べていますでしょうか。
当社には、大手ECパッケージベンダーの出身者も多く所属しております。コンサルタント一人一いが、いろいろなパッケージの良し悪しを理解しているからこそ、お客様に最適なパッケージをお勧めすることができます。
当社は、ベンダーでEC事業の戦略企画から、システム開発、オペレーション改善までをワンストップで提供しておりますが、もちろん当社以外のベンダーの選定/ご紹介もご支援させていただきますので、パッケージ選定の際には是非一度お声がけください。初回は完全無料でお伺いさせていただきます。