目次
1.開発費の内訳を知る
まず、結論からご説明してしまうと、安くシステムを開発(カスタマイズ)するには、高い機能の開発を省くこと以外に方法はありません。
具体的に書くと、システム開発の主な原価は人件費なので、「高い機能」=「手間のかかる機能」を削減できれば開発費は安くなります。
こちらは皆さんもご存知かと思いますが、この記事でご理解いただきたいのは、"開発"にかかる手間を考慮する際は、"コーディング"だけではなくその前後の工程も考慮しなければならないということです。
以下、簡単にシステム開発の工程をまとめております。
一般に、開発費と聞くと「4.開発」をイメージされるかと思いますが、「4.開発」が"開発費"に占める割合はどのくらいだと思われますか?
1. 要件定義
システムの仕様などの機能要件や、運用面など非機能な要件などを定義するフェーズ↓
2. 設計
システムの仕様などの機能要件や、運用面など非機能な要件などを定義するフェーズ。↓
3. デザイン
WEBサイトのデザインを製作し、コーディングするフェーズ。↓
4. 開発
ソースコードを記述し、アプリケーションを構築するフェーズ。↓
5. テスト/修正
構築したシステムが要件通りに動くかテストし、動かないものは修正するフェーズ実は、「4.開発」が"開発費"全体に占める割合は半分程度かそれ以下のことも多く、他の工程も考慮しなければ、なかなか"開発費"に影響のある削減が行えません。
以降、上述の各フェーズを意識しながら読み進めていただけますと、実例にあるカスタマイズはどの工程の手間が大きいのかイメージいただけると思います。
2.思ったよりお金がかかる無駄なカスタマイズ4選
① CVに繋がらない部分のデザイン(UI/UX)細部にこだわること
CVとはConversionの略語です。
ECであればお客様が購入に至ること、営業用のサイトであれば問い合わせ(申し込み)に至ること、採用サイトであれば応募に至ること、などサイトにはそれぞれ目的があり、その目的をCVと言います。
ECでCVに至る人を増やすためには、商品を探しやすくする、商品の魅力を伝わりやすくする、サービスの強みを伝える、など、サイトのデザインでもいろいろな工夫ができます。
しかし、新しくサイトを構築する際に、サイトの目的を忘れてしまうと、CV(目的達成)とは関係のない部分で細部に拘ってしまい、開発費が高くなってしまうことがあります。
ブランドのコンセプトに関わる場合など、CVに直接の関係がない開発が必要になることも多いのは承知していますが、例えばPC画面とSP画面の両方のデザインの細部を拘るあまりPCとSPのデザインを共通のソースコードで管理できなくなってしまえば、開発費が高まるだけではなく、運用性も低下します。
デザインの確認や修正依頼を行う際には、システム会社に対して「大きな手間のかかる部分は教えて欲しい」と事前に伝えておくと、意図しないコストを掛けずに良いデザインができるかと思います。
② バリデーションのメッセージなどシステム標準から変えること
バリデーションのメッセージとは、フォームの入力時などにエラーを判定して、ユーザーに対して入力内容の適正化を促すメッセージです。
例えば、氏名のフリガナの欄にひらがなで入力したユーザーに対して「カタカナで入力してください」などと表示されるメッセージのことです。
パッケージシステムを利用する場合には、パッケージ標準でエラーメッセージなどが定義されていることが多いですが、ページ毎にメッセージを変えたり、メッセージの表示方法を変えたりすると、開発工数だけではなく要件定義工数やテスト工数も大きくなり、開発費が嵩みます。
ご要望としてはそれほど多くありませんが、デザインや機能要件をお客様で検討される際に、利用するパッケージの標準機能を無視すると、ユーザーのためにならない開発が増える傾向にあります。
パッケージシステムを利用する際には、どの部分を定義すべきか、あるいはどの部分はシステム標準に沿うのが良いかを予めベンダーと決めておくと良いかと思います。
③ デザイン会社とシステム会社を分けること
WEB系のシステムを構築する際に、デザインとシステムを別の会社に発注することは珍しいことではありません。
しかし、WEBシステムを比較的安価に構築/運用したい場合には、デザインとシステムの両方に対応できるシステム会社に依頼することをお勧めします。
当社もデザインのコーディングデータを受け取り、システムに組み込むプロジェクトもありますが、パッケージシステムを理解せずに作成されたコーディングデータは大幅な修正が必要になります。
PSDなどでデザインを製作するまでの工程は比較的どちらのデザイン会社様でも問題はありませんが、コーディングに関しては、パッケージシステムを熟知した会社に任せる方が費用的に抑えることができます。
④ 管理画面のデザインにこだわること
会社サイトなどのサイトはユーザー向けの画面のみ構築する場合もありますが、WEBシステムの場合には、一般的にユーザー向けの画面と管理者向けの画面が存在します。
ユーザー画面は、ユーザーの利便性のみならずブランドイメージにも繋がるため、比較的凝ったデザインを構築します。
しかし、管理画面となると、デザイン性を重視するより、業務の効率性も重要になります。
稀に「誰でも使いやすく、管理画面をキレイにしたい」という要望をお請けすることもありますが、筆者個人的には「ある程度(数日レベルで)慣れた人が効率的に運用できること」を重視すべきと考えています。 具体的にどんな違いがあるかと言うと、前者を実現するには画面に表示される要素を減らし、画面上に分かりやすい説明などを記載します。一方、後者は逆に少々情報量を詰めて表示し、業務に必要な要素を一画面に収めます。
経験的には、システムに限らず新しいものを利用する際、「分かりにくい」「使いづらい」と感じることは多いと思いますが、業務システムにおいてはそれで離脱することはないので、慣れてきた場合のことも考える必要があります。
パッケージシステムの管理画面は、多数の利用者からの意見を吸い上げ、その意見を管理画面に反映していることも多いので、管理画面の操作性を大きく変える際には、少し使ってみてから検討されることをお勧めします。
3.絶対やめるべきカスタマイズ
最後に、絶対にやってはいけないカスタマイズをご説明します。
こちらは古いサイトからのリプレイス(リニューアル)の際に比較的よくいただくご要望ですが、「前のシステムと全く同じにしたい」という要望です。
先に説明した通り、システムに限らず新しいものは「分かり辛い」「使いづらい」と感じるものです。 それを回避するために、操作性を全く同じにしたいという要望はある程度理解していますが、「全く同じ」にするのは新しいパッケージシステムが想定している便利な機能を殺すことにも繋がるため、あくまで「操作性を似せる」程度に留めることをお勧めします。
まとめーパッケージシステムの構築は専門会社へ依頼すること
いかがでしたでしょうか。
有料/無料問わずパッケージシステムが発達してきている今、ECに限らず、WEB系のシステムにパッケージを利用される企業様は多いと思います。
カスタマイズ予算をできるだけ意義のある機能に割くために、参考にしていただけますと幸いです。
当社は、「EC-CUBE」やモール型ECパッケージ「REGOLITH」などを得意としております。 ECサイトの構築の際には是非ご相談ください。